2011年

3月

25日

「知恵袋」第2号

情報伝達・マスコミ対応(2件) 新年度予算の取り扱い(1件)

自治体学会 被災自治体・応援自治体向け「知恵袋」 第2号  2011.3.25

この「知恵袋」は、東北関東大震災の被災自治体や応援自治体(避難者受け入れ自治体を含む)の職員らを対象にしたアドバイス情報集です。「自治体学会」の会員や大規模災害の経験者らから寄せられた情報をもとに「次に何が起こりうるか」「自治体職員としてどんな点に気をつけなければならないか」を、分野別・タイプ別にコンパクトにまとめました。コピーやファックスで必要な方に届けて下さい。転記や転送も自由です。
                 編集責任者:相川康子(自治体学会運営委員)

見出し横のアルファベットは、概ね次の地域に向く情報の目印です。
  A:被災地に関する共通・一般情報
  B:激甚被害地域向けの情報(津波被害、集団移転など)
  C:中規模被害地域向けの情報
  D:その他(支援に回る自治体など)
※情報の提供やリクエストは、できるだけメールでお寄せ下さい。メール環境にない方は電話やファクス、郵送でも受け付けます。
  jichi_shien@yahoo.co.jp   ※単語間(iとsの間)は(_)アンダーバー
  〒104-0043  東京都中央区湊2-16-25-202 自治創造コンソーシアム内
         自治体学会事務局  Tel&Fax 03-6427-6685
 

 第2号の内容:情報伝達・マスコミ対応(2件) 新年度予算の取り扱い(1件)
        被災資料の救出・保存(1件) 避難者受け入れ注意点②(1件)
      
  第1号(3/21)の内容 避難所運営・被災者支援/環境・衛生対策(有害物質、
災害廃棄物、トイレ)/ストレス解消法/応援職員心構え/避難者受入れ注意点①

 現地では消毒薬や長靴が不足しているという情報があります。これから応援に行かれる方は、多めにご準備下さい。

<情報伝達・マスコミ対応>
■テレビやラジオ、新聞の情報をキャッチして掲示しよう  A
 メディアの報道が、安否確認から生活関連情報へと変わってきました。店舗の再開状況や臨時のお風呂、給水車や物資配給の時間と場所、電気や水道などライフラインの復旧情報、道路や鉄道の開通状況などは、被災者を勇気づけます。新聞記事を拡大コピーしたり、ラジオやテレビで流れた情報を紙に書いたりして、貼り出してはどうでしょう。台紙やマジックの色を変えたり、イラストを入れたりすると、避難所の雰囲気が明るくなります。情報をキャッチし紙に書き込む役は、手持無沙汰にしている中学生・高校生に声がけしてはどうでしょう。
また、その紙は捨てないで保存しておいてください。後で貴重な記録となります。

■メディア取材に対するマニュアルづくりを  A
 これまでは、被災者の方が自分の安否を知人に伝える手立てがなかったため、テレビや新聞の取材に積極的に応じておられたのではないでしょうか。少し落ち着いてくると、顔が分かる映像を撮られたくない、疲れて寝ている避難所に記者やカメラマンに立ち行って欲しくない、というプライバシー保護の要望が出てくると思います。報道も大事なので、「一律拒否」ではなく、なるべく被災者や避難所運営スタッフの負担にならないよう「取材対応のルール」と決めておくと良いでしょう。
 例えば
○避難所での撮影は、決められた(了解の取れた)箇所だけにする
○「顔や名前を出していいかどうか、事前に当事者に確認する
○どんな取材なのか、何が聞きたいかを運営スタッフや避難住民のリーダー聞き取り、協力してくれそうな人を募る
・・・などです。スタッフや避難所リーダーの中で、広報担当を決めておくとよいでしょう。上記2つは、ジャーナリストなら当たり前のことなのですが、現地の様子に興奮状態に陥っている記者も多いと思われるので、改めて確認して下さい。
 マスメディアも交替要員が次々と送られ、フリーのジャーナリストも取材に来るので、同じ質問を何度もされることも多いでしょう。基礎情報(どんな人が何人ぐらい避難しているのか)や、良く尋ねられること(どんな運営体制か、何が欲しいか、どんな点に困っているか)などを1枚ものの紙にまとめて渡すようにすると、手間が省けます。

<自治体の年度末業務>

■甚大被害地域での新年度予算の対応について  B
 以下は自治体学会mLで出た意見を集約した、新年度予算の対処方法です。被災状況によって異なるので、それぞれの自治体にあったやり方を選択して下さい。

○可能な限り議会の開催を
 緊急事態ですが、1時間でも本会議を持ち、行政と議会が住民意思をどう受け止めてこの事態に対応しようとしているのかを確認し、住民に示すことが大事です。被災状況下では、必要な応急事業に予備費を充当し、執行上の裁量を認めながら、優先度の高い事業を継続していくことが住民意思といえるでしょう。
 当初予算は、現実の条件と大きくずれてしまっていると思われます。応急対応が求められる事業などについての暫定予算を組むことが可能であれば望ましい事態です。しかし、年度末までの限られた時間、応急の業務が山積する中で、当初予算を修正することや、暫定予算を作ることは困難であろうかと思われます。
 その場合、提案されている当初予算をいったん議決し、新年度の予算執行ができる枠組を確定した上で、応急の必要事業を予備費により執行し、緊急時にも優先的に必要な通常事業を継続しつつ、必要に応じて補正予算で実態に合わせた予算に組みかえていくということが次善の策となるでしょう。

○どうしても議会が開催できない場合
 3月議会の会期終了をもって当初予算を含め、議決されていないすべての議案が審議未了廃案となりますので、新年度の活動に当面必要な経費を、暫定予算として専決処分して執行していくことが必要となります(地方自治法179条の専決処分の要件に該当)。
 この場合には、議会が開催できる状況になり、ある程度予算の見通しができるようになった時点で、予算を議決することが必要となります。


参考)南相馬市のケース
3月24日、本会議を開催し、提案されていた平成23年度当初予算案を議決。その他の議案については、審議未了で廃案にした。


<資料や史料の救出・保存・記録>
■歴史資料や文化財の早期救出を  A
 がれき処理や建物解体が進んでいますが、その下に埋まっている大事なものをできるだけ救い出し、保存する必要があります。個人のアルバムや位牌など「思い出の品」については、ボランティアも救出を呼びかけていますが、行政として対応が求められるのは「歴史資料(古文書や地域・集落の歴史を記した資料類)」です。
 何をこの時期に…と思われるかもしれませんが、阪神・淡路でも外部の専門家が早期に「歴史資料の保全」を呼び掛けたことから「がれきの下からの資料救出隊」が組織され、貴重な資料を随分残すことができました。アチェの津波被災地でも、文化財や歴史資料の組織的な救出・保全活動が行われています。
 とくに地区会館などに保存されていたであろう集落の歴史を示す文書などは、後になって集落を再生させる(あるいは廃村の選択をする場合でも)場合の、住民の心の拠り所となります。泥をかぶった場合もあり、放置しておくと廃棄されてしまうので、今すぐ「残しておいて」とメッセージを出す必要があります。
参考サイト(特活)宮城歴史資料保全ネットワークhttp://www.miyagi-shiryounet.org/ 

<避難者を受け入れる自治体の方へ>
■避難者への対応② 心遣いと被災者心理 C,D
自治体が用意した公営住宅や一時待機所(保養施設、廃校活用など)に、避難してきた人の入居が始まっています。いま、来ている人は、新潟など近県へは「着の身着のまま」、近畿など遠方へは「知人を頼ってきたが、同居は難しいので公営住宅を探しに」という人が多いようです。廃校などの施設を丸々提供するところでは「集落ごとの集団避難」のケースがある一方、ポツポツとバラバラに空いていた公営住宅を提供し、順番に入居させているケースもあります。
避難者の状態や心情は大まかに分けて
○原発からの一時避難(安全宣言が出たら帰郷の可能性あり)
○明確な移住志向(この機に東北を離れ、避難先に腰を落ち着けようという人)
○中間層(帰れるものなら帰りたいが、状況が分からず揺れている人)
の3つに分かれ、3番目の中間層が最も多いと思われます。「自分だけ逃げてきた」と罪悪感を持つ人もいます。揺れ動き、思い悩む気持ちに寄りそうため、自治体の中で継続的にかかわる担当を決めて下さい。傾聴ボランティアなどの支援も必要です。また、生活支援(寝具や家財道具を整えたり、買い物できる場所やコインランドリーの位置等を紹介する地図を渡したり…)の中で、近隣の住民と仲良くなれるよう橋渡ししてあげて下さい。