2011年

3月

21日

「知恵袋」第1号

自治体学会 被災自治体・応援自治体向け「知恵袋」 第1号2011.3.21


<避難所運営、被災者支援>
■公的避難所以外の場所にいる被災者にも配慮を A
公的な避難所のほかにも、民間の事業所や倉庫、宗教施設などに逃げ込んだり、空き地にテントを張ってしのいだりしている人が多数いると思われます。そのような場所を探し、避難所と位置付けて、情報や物資を届けてあげてください。また、昼間は自宅にいて夜だけ避難所に行く、食料や物資の配給がある時だけ行く、という被災者もいます。大勢が込み合う場所には耐えられない人も多いので「避難所にずっといる人しかダメ」という杓子定規ではなく、柔軟に対応し、物資や食糧を届ける際の勘定に入れましょう。

■被災者に避難所の運営にかかわってもらおう A、D 
職員やボランティアが、避難所運営の何もかも担うかたちでは長続きしません。被災者の中で「自治会」や「運営委員会」を結成してもらうように呼び掛けましょう。職員には遠慮なく不満をぶつける人も、住民同士では協調に向かうことが多いのです。リーダーには中高年の男性だけでなく、複数の女性を入れ、若者や高齢者の声が反映されるよう配慮して下さい。また、住民同士では解決できない問題や人権侵害があった場合には、職員が毅然として対応する必要があります。

 ■避難生活を送る女性への配慮を  A
  避難所生活は、誰にとっても苦しいものですが、とくに女性にとっては大きなストレスです。女性たちが安心して着替えや授乳、仮眠ができるよう、女性専用(男性立ち入り禁止の)の小部屋や一角を用意してあげてください。女性特有のニーズを遠慮なく伝えられるよう女性のリーダーを決めたり、女性の警察官や保健師らに巡回してもらったりすると良いでしょう。また、避難所運営の手伝いを頼む際は、性別役割分業にとらわれず、個人として得意なこと・できることを手伝ってもらいましょう。
  参考サイト:災害と女性情報ネットワーク http://homepage2.nifty.com/bousai/

 ■福祉避難所や要援護者優先ルームの設置を A、D
お年寄りや病人、障がいを持つ人に、体育館などの環境は耐えられません。畳やベッドのある部屋や比較的条件の良い場所を優先して使わせてあげて下さい。高齢者施設や病院、養護学校などの協力が得られれば、脆弱な人専用の福祉避難所を開設しましょう。。
参考サイト:福祉避難所設営・運営に関するガイドラインhttp://www.sago-octagon.com/menu02/images/hukusihinanjo.pdf#search='福祉避難所運営設置'
<環境・衛生対策>
■有害物質が環境に漏れ出ていないか、至急調査を A
 原発の放射能以外にも、倒壊した建物からアスベスト(石綿)が飛散したり、有害な化学物質が漏れ出したりしている可能性があります。阪神・淡路大震災では、クリーニング店のタンクが倒れてトリクロロエチレンが流れ出て土壌汚染を引き起こしたり、アスベストの防御をせずに建物解体作業を行った作業員が中皮腫を患ったりしています。PRTR(化学物質排出把握管理促進法)の事業者リストをもとに、至急、調査を始め、飛散・拡散防止策や住民への注意など、必要な対策を講じて下さい。手元に事業所リストが無い場合は、環境庁や経済産業省のHPからデータを入手することができます。
参考サイト:http://www.env.go.jp/chemi/prtr/kaiji/index.html

■災害廃棄物の処理は計画的に、自治体間の連携も重要  A、D
 大量のがれきなど災害廃棄物の処理が、今後、被災自治体の大きな課題となります。焼却施設が被災していたり、施設に通じる道が壊れている、大渋滞で通れないなどの問題も起こりえます。まずは処理施設の被災状況(処理能力)を調べ「すぐに燃やすべきもの(水をかぶり腐敗の可能性のあるごみ)」と「そうでないもの(コンクリートがらなど)」を分け、後者は空き地を一時保管所に指定して運び入れましょう。被災地以外の自治体は、処理の肩代わりを申し出てあげて下さい。環境省のHPには、協力してくれる業界団体や自治体のリストが掲載されています。
参考サイト:http://www.env.go.jp/chemi/prtr/kaiji/index.html

■トイレ対策はあの手この手で   A、D
 断水で水洗トイレが使えず、非常に不衛生な状態になっているでしょうが、仮設トイレの設置が徐々に進んでいます。阪神・淡路大震災ではマンホールの蓋を開け、落ちないよう台を作りブルーシートを張り巡らせて簡易トイレにしたり、グラウンドに溝を掘って(ただし井戸等への影響がない箇所で)排泄物を埋めたりしていました。バキュームカーが不足しており、排泄物をごみとして出さざるを得ない状況もあるかと思いますが、尿と便を分ける配慮をしましょう。消毒薬をたくさん確保してください。
仮設トイレも、段差のある和式スタイルのものは、子どもや高齢者は使いにくいのでので、段ボール箱などを活用し、踏み台や簡易トイレを作ってみてはどうでしょう。仮設トイレのタンクは、汚物が1カ所にたまりやすく、すぐに満杯になったように見えますが、棒などでならせば結構入ります。ある程度台数が確保できれば、男性用・女性用に区分するなど、プライバシーへの配慮が求められます。

<自治体職員のストレス解消>
■被災者の気持ちには波があることを理解しよう A、D
 この時期、被災者に不平不満をぶつけられ、つらい思いをしている職員も多いと思います。被災者の気持ちは「茫然自失状態」から「震災ユートピア期(皆が思いやりを持つ)」を経て「不平不満期」と移り変わります。また、多くの人が普段よ“ハイ”な状態になっていますが、そのうちガックリきたり、涙もろくなったり、揺れ動きます。専門家の支援が必要な人もいますが、多くの人は徐々に落ち着いてきます。災害を受け入れるプロセスの中での気持ちの揺れだと理解し、あなた自身はゆったり構えて下さいね。

■休んで下さい、眠って下さい  B、C
 不眠不休で、気を張り詰めて頑張っておられるかと思います。でも、災害復旧は長期戦です。張り詰めてばかりでは神経も身体も持ちません。いったん休暇を取って、思い切り泣いたり、眠ったり、可能ならば被災地を離れて気分転換を試みて下さい。

<応援に行かれる方へ> 
■相手先の気持ちや状態を慮って  D
 被災自治体の職員は疲れ切っています。応援職員に対して的確な指示や依頼ができない場合もありますが、落ち着いて対応してあげて下さい。指示待ちではなく、できることを提案し、自ら担う心構えが大切です。受け入れ側は「応援に来てくれているのに、自分たちが休む訳にいかない」と無理をする傾向があるので、「休んで下さい」と声掛けし、サボっているように見えても怒ってはいけません。また、被災地の惨状を見ても「地獄のようだ」とか「こんなところには住めない」などと(たとえ被災地の人がそう言ったとしても)口に出さないようにして下さい。被災者にとっては、それでも大事な故郷であり、生活の場なのですから。

<避難者を受け入れる自治体の方へ>
■コミュニティを大事に C、D
 住み慣れた地域を離れるのはつらいことです。一時的な受け入れ先では、なるべく顔見知り同士で固まれるよう(コミュニティが維持できるよう)配慮してあげて下さい。公営住宅を中長期の住まいとして提供する場合にも、なるべくバラバラならないよう工夫が必要です。着の身着のまま逃げてきた人には、家財道具を準備し、周辺の地図も用意してあげて下さい。相手は、プライドを持った一人の人間です。暖かく、かつ相手が負い目や引け目を感じることのないよう、自然に受け入れましょう。  <第1便終>