2011年

5月

08日

「知恵袋」第6号

支援物資について ほか

自治体学会 被災自治体・応援自治体向け 2011.5.8
一歩先読みアドバイス 「知恵袋」 第6号
この「知恵袋」は、東日本大震災の被災自治体や応援自治体(避難者受け入れ自治体を含む)の職員らを対象にしたアドバイス情報集です。「自治体学会」の会員や、過去の大規模災害での業務を経験した人たち寄せられた情報をもとに「次に何が起こりうるか」「自治体職員としてどんな点に気をつけなければならないか」を、分野別・タイプ別にコンパクトにまとめました。コピーやファックスで必要な方に届けて下さい。転記や転送も自由です。 発行責任者:相川康子(自治体学会運営委員)


■見出し横のアルファベットは、概ね次の地域に向く情報の目印です。
A:被災地に関する共通・一般情報
B:激甚被害地域向けの情報(津波被害、集団移転など)
C:中規模被害地域向けの情報
D:応援自治体、避難者受け入れ自治体向けの情報
情報の提供やリクエストは、できるだけメールでお寄せ下さい。メール環境にない方は電話やファクスでも受け付けます。
jichi_shien@yahoo.co.jp ※単語間(iとsの間)は(_)アンダーバー
発行責任者:相川連絡先 Tel&Fax 078-955-7990

 

第6号の内容
支援物資について (調整、配布・活用) 3件
生活再建(住宅再建・相談窓口) 3件
被災者支援(避難所、避難者の受け入れ) 3件
※GW中は、ボランティアや研究者が多数、被災地入りしました。歓迎する人もいれば、不快に思った人もいるでしょうが、自分のペースを崩さないことが大事です。
※生活再建や復興の格差が目立ってくる時期です。最後の1人が再建できるまで寄りそう、という気持ちを持ち続けて下さい。

 

<支援物資について>
■支援物資の調整について A、D
近年の災害の教訓から、支援物資については「必要な物資を必要なだけ送る」「その調整ができなければ物資よりもお金の方が活用しやすい」ということが言われるようになりました。今回の東日本大震災においても、当初からそう言われながらも、避難所の悲惨な状況が繰り返し報じられ、交通事情が良くなったこともあって、個人や企業から支援物資の申し出が多数、寄せられています。
善意を無にする訳にいかず、行政としては受けざるを得ない状況もありますが、一時保管や輸送手段の確保、その物資が必要な人たちの特定、さらに被災地での分配は大きな課題です、善意からであっても、不要なもの・未整理なものは、担当者の作業効率やモチベーションを下げるばかりか、現地の商工業を圧迫しかねません。
NPOのネットワークでは、WEBやメールを通じて、物資の提供と受け入れのマッチングを行っています。自治体としても、このようなWEBや派遣職員らを通じて現地のニーズや受け入れ先を的確に把握する必要があるでしょう。疲弊している被災自治体に代わって必要品目を集約し、仕分けや配送の人手を確保することが大切です。その際、不必要な物資で集積場が一杯になった場合のロスや、仕分け業務のコストについて、何らかの基準で金額を示し、効率的に進めることがいかに大事かを多くの人に理解してもらうことも必要だと考えます。 情報提供者:前川さゆりさん(自治体学会運営会員、堺市役所)
■支援物資の配布・活用について A
衣類や日用品はマッチングが難しいため、バザーのように陳列展示して
○被災した人たちに、好きに選んでもらい、無料で持って帰ってもらう
○一般住民に廉価で買い取ってもらい、売り上げを義援金に入れる
…などの、知恵を絞った取り組みもあるようです。
好きに選んでもらうというのは、避難所や仮設住宅の近辺では良い取り組みですが、場所や状況によっては、周辺の民間事業者(同じようなものを扱う商店等)の経営を圧迫しかねないので、調査や調整が必要です。また、一般向けのバザーも、善意の品を無駄にしない取り組みではありますが、地域でほかにバザーを計画している団体(障がい者の小規模事業所など、バザーが大きな収入源になっている所があります)がある場合には、一定の配慮が求められます。例えば、時期や出品する物品がかぶらないようにする、あるいは逆に共同で開催するなどの対応が考えられます。
■支援物資を送る際は、相手を決めて、息長く D
被災地のニーズは刻々と変わります。被災当初は冬物衣料が必要でしたが、今後は夏物衣料が要るでしょう。被災地にとって最も困るのは、一時期に同じ物が届いて余ってしまい、その後パッタリと支援が止んでしまうことです。相手先を定め、常にニーズを聞きながら、必要なものを、必要な時期に届けるようにしましょう。息長く支えますよ、というメッセージを出すことが重要なのです。

 

<生活再建、相談窓口>
■住宅再建は複数の手法を認めるべき A
「避難所→仮設住宅→復興住宅」という単線的な住まいの確保が、必ずしも良いとは限りません。仮設住宅や復興住宅は、用地確保の難しさから遠隔地に造られることが多く、生業や勤め先、学校、病院などの関係で、遠くに引っ越せない人たちも多数いるからです。壊れた自宅跡に簡易なプレハブ住宅を建てる人や、自力で賃貸住宅を見つけた人にも、相応の支援を行うべきです。
公的な仮設住宅は、建設と撤去だけで一戸当たり約400万円のコストがかかる上、2~3年後には処分を考えなければなりません。また、刻々と変わる被災者のニーズを踏まえながら、必要戸数を推計し、調整していくのは、至難の業です。被災者の立場を考えた柔軟な制度運用が望まれます。
■総合的な相談窓口が、引き続き必要です B、A
被災者が抱える問題は、住まいや仕事、子どもの就学、本人や家族の健康問題、被災後に必要な諸手続きなど多岐に渡ります。いつも以上に「縦割り」ではない、横断的かつ総合的な対応が求められています。いくつかの被災自治体では、これまで設けていた総合相談窓口を閉鎖する動きがあるようですが、ワンストップの相談窓口のニーズは引き続き高いと思われます。やむなく分散する場合は、被災者をたらい回しにすることがないよう、十分な引継ぎを行ってください。激甚被災地の場合は、避難先や仮設住宅、仮設診療所、ショッピングセンターなど、被災者が多く集まる場所に出張相談に行くのが有効です。
各地の弁護士会や司法書士会などでも、被災者向けの法律・手続き相談窓口を開いているようです。うまく連携し、被災者が安心して相談できる体制を整えましょう。
■消費者相談、女性相談を充実させよう A、B
消費者センターや男女共同参画センターで行っていた既存の行政相談窓口も、被災者向けに対応の幅を広げる必要があります。相談を待つだけでなく、積極的な情報の収集発信や啓発が必要です。過去の災害の事例からみても、消費者相談では、被災者向けの悪徳商法の監視(高額過ぎる修繕工事、防災グッズの押し売り等)や多重債務者の相談のニーズが高まります。女性相談では、ドメスティック・バイオレンスや家族関係の相談が増えるでしょう。もし、被災自治体で、これらセンターの人員をほかの業務に回しているところがあるなら、至急、本来業務に復帰させ、応援職員やNPOのマンパワーも借りながら、相談機能を回復させて下さい。
被災者の生活相談から、思わぬニーズや行政課題が見いだされることが多いのです。気づいたことは相談窓口だけで留めず、災害対策本部や各課につなげるようにしましょう。

 

<被災者支援、避難所や圏外避難者の対応>
■被災者は職員の姿を見ています A、D
避難所運営が長引き、被災者も、担当職員もイライラが募っていることと思います。それでも職員同士が大声で言い合ったり、電話で喧嘩したりする姿を、被災者に見せることは厳禁です。また、応援職員や避難所運営ボランティアは、積極的に受け入れましょう。人間には特技や相性がありますから、被災地の担当者では気づかないことを外部の支援者が見つけたり、担当者には言わなかった愚痴や本音を、支援者に漏らす被災者もいます。それを“恥”や非難と思う必要はありません(指摘する方も言い方に気を付けましょう)。被災者が少しでも心地よく過ごせるよう、力を合わせることが重要なのです。
■避難者の受け入れに、民間住宅を活用してはどうか D
多くの自治体が、公営住宅や施設を、被災者のために提供していますが、まだ移り住んでくる人は少ないようです。空いている公営住宅は、交通の便が悪いなど、あまり立地が良くないことが原因の一つかもしれません。民間賃貸のオーナーの中にも、被災者に空いている部屋を無料あるいは格安で提供したいと思っている人は多数いるようです。地元の不動産業界団体の協力が得られるようであれば、それらの情報を集約してもらい、公営住宅の空き部屋と合わせて、広報してはどうでしょう。ただし、最初に、民―民の契約であること(トラブルは当事者同士で解決するのが原則)を納得してもらう必要があります。
■被災者対応は「自分だったらどうか」を考えて D、A
避難されてきた方に対する対応で、困惑している職員は多いことでしょう。一時的な滞在者なのか/定住希望なのか、経済的にどこまで困っているのか、下手なことを言って傷つけてしまったらどうしよう…等々 対応の基本は「自分だったら、どうして欲しいか」想像力を働かせることです。「かわいそうな人」という“上から目線”ではなく、同じ人間として接するよう心がけましょう。
住宅担当窓口で「鍵を渡してハイ終わり」ではなく、継続的にかかわる部署(できれば担当者)を決め、名前を覚えてもらい、相手の信用を得るよう努めながら、潜在的なニーズを引出していきましょう。担当者は一定の研修を受けるか、当初は相談業務に長けた人(職員または外部の専門家、NPO)とペアを組んで訪問するのが良いと思われます。子どもがいる世帯には転任先の学校の先生が、要介護の高齢者がいる世帯には地区担当のケアワーカーらが、同行すると喜ばれるでしょう。
近隣との関係も大切です。受け入れ地区の自治会や民生児童委員さんには、上記の「自分だったらどうか」を基本に温かく接してもらうよう呼びかけ、ボランティア志願の人たちには、相手の意向を確認しながら(同情的な誘いを嫌がる人もいます)、上手につないであげて下さい。       第6号終わり